近年、超高層ビルのホテルやマンションが増えています。
さて、それらの高層階(100m以上)でもし火災が発生したらどのように消火するのでしょうか。
11階以上の建物を日本では高層ビルと呼びます。
11階以上になるとスプリンクラー設備が義務になります。
スプリンクラーというのは、設置にも維持にもお金がかかるのですが、消火については優れた能力を発揮します。特に初期の火災段階で火炎や煙の発生を抑え、避難誘導の時間的余裕を稼ぐにはとても重要な設備です。ですから、スプリンクラーさえあれば、よほど爆発的な火災で無い限り、人的な被害は最小限に抑えられるはずです。
しかし、同時にスプリンクラーは「消火」を期待された設備ではありません。面白いことに「消火器」「屋内消火栓」「泡消火設備」と他の消火装置はすべて「消火」という名前が入っているのにスプリンクラーだけは「スプリンクラー設備」なのです。
ですから、火の回りを抑えることはできても消火に至らないこともあります。
その場合は、消火のための放水設備「屋内消火栓設備」などを使って消火することもあります。これは建物内に居る人たちが使って消火するための設備です。消防車が到着したら、まず消防用エレベーターで火災の発生している階まで一気に上がることができます。
通常のエレベーターは火災のときは使用禁止ですが、消防用エレベーターは火災が発生しても防火壁で囲まれ火や煙が入らないように作ってあり、操作も消防隊員が自由に操作できるようになっています。
そして、ビルの1階にポンプ車を取り付けると、連結送水管という消防専用の配管を使って一気に大量の水を送り出し、放水して消火にあたります。
消防専用の配管がどのくらいの威力があるかというと、通常スプリンクラーの配管は直径20ミリぐらい、屋内消火栓は40ミリで放水圧は高くても0.4Mpaぐらいなのですが、連結送水管は65ミリの太さで放水圧も最低で0.5Mpaぐらいです。外から放水するときはもっと出ているでしょう。
普通の素人はこれぐらいの水圧になると、二人がかりでも持っているのがやっとですが、消防隊員はそれを振り回して消火するのですからものすごいです。
なお、建物には自動火災報知設備がついているので火災の最初は自動火災報知設備が感知して火災を知らせるか、スプリンクラーの放水が開始することで火災を知らせます。でも普通は建物内で鳴るだけで、消防に自動通報はしません。
また、逃げる際、高層ビルには「特別避難階段」という仕組みがあって、火災階よりも1階下に行けばとりあえず安全が確保されるようになっています。もし逃げる場合は、とりあえず火災発生階のひとつ下まで逃げれば、ちょっと休んでから地上に逃げることができます。特にけが人などが居る場合は、その階の特別避難階段で助けを待つこともできます。
また高層ビルは必ず2つ以上の避難階段が設置されています。四角いビルだと四つ角全部についている場合もあります。火災発生階より上の階の場合、煙が進入すると降りられなくなりますので、その場合は特別避難階段で煙を吸わないようにして待機するのが賢明です。
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